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東京を出て、地元に帰った

📅 2026-03-11⏱️ 4分✍️ 匿名の帰還者
地元東京Uターン暮らし選択
10年いた東京を出た。 大学進学で上京して、そのまま就職して、気づいたら32歳になっていた。 東京は便利だった。何でもある。どこにでも行ける。 でも、何でもあるのに、何かが足りなかった。 朝、満員電車に押し込まれる。 昼、コンビニのおにぎりをデスクで食べる。 夜、疲れてコンビニ弁当を買って帰る。 休日、どこに行っても人がいる。 友達はいた。でも、みんな忙しい。会うのは月に一度あるかないか。 LINEは毎日してるのに、なぜか寂しい。 あるとき帰省したら、実家の近くの田んぼが夕日に光っていた。 なんでもない景色だった。高校の時は何も感じなかった。 でもその日は、しばらく立ち止まって見ていた。 帰りの新幹線で、泣いた。 翌月、退職届を出した。 地元に戻ってから1年が経つ。 給料は下がった。3割くらい。 おしゃれなカフェもない。映画館は車で40分。 Amazonのお急ぎ便は翌日じゃなくて翌々日。 でも。 朝、窓を開けると山が見える。 スーパーの野菜が安くて新鮮で、自炊するようになった。 高校の同級生と月に何回か飲む。「変わんねーな」って笑い合う。 母親の作ったご飯を、週に一度食べに行く。 通勤は車で15分。満員電車はない。 夜、星が見える。東京では見えなかった。 こんなの、贅沢じゃないですか。 友達に「もったいない」って言われた。 「東京でキャリア積んでたのに」って。 もったいないのかもしれない。キャリア的には後退したと思う。 年収も下がったし、転職市場では不利だろう。 でも、もったいなくない人生って何だろう。 給料が高くて、都会に住んで、キャリアを積んで。 それが「もったいなくない」なら、私はもったいない人生でいい。 田んぼが光る夕方に、自転車を走らせながら思う。 ここでいい。ここがいい。 --- *© 2026 匿名の帰還者*