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嫌われてもいいと思えた日

📅 2026-03-11⏱️ 4分✍️ 匿名の元・八方美人
嫌われる八方美人自分境界線解放
全員に好かれようとしていた。 職場の人にも、友達にも、親にも、初対面の人にも。 常に笑顔で、頼まれたら断らず、空気を読んで、波風を立てない。 「優しいね」ってよく言われた。 「〇〇さんがいると安心する」って。 嬉しかった。嬉しかったはずだった。 でも夜、家に帰ると、どっと疲れが出る。 鏡の前で笑顔を作ってみる。昼間と同じ顔。 でも目が笑ってなかった。 いつからだろう。自分が何を好きなのか、わからなくなったのは。 ランチの店を聞かれて「どこでもいいよ」。 映画を聞かれて「何でもいいよ」。 旅行先を聞かれて「みんなに合わせるよ」。 全部、本心じゃなかった。 本当はあの店がいい。あの映画が見たい。あそこに行きたい。 でも言えなかった。嫌われるのが怖くて。 限界が来たのは、30歳の誕生日だった。 会社の飲み会の幹事を押しつけられた。自分の誕生日なのに。 断れなかった。笑顔で「いいですよ」って言った。 帰り道、涙が止まらなかった。 誰のために生きてるんだろう。 次の日、カウンセリングの予約を取った。 カウンセラーに言われた言葉が、今でも残っている。 「全員に好かれることは、誰にも好かれないことと同じですよ」 意味がわからなかった。でも、噛めば噛むほど味がした。 全員に合わせるということは、自分がないということ。 自分がないということは、好かれる「自分」がいないということ。 みんなが好きだったのは、本当の私じゃなくて、便利な私だった。 それから少しずつ、練習した。 「ごめん、今日は疲れてるから」と飲み会を断った。 「私はこっちがいい」とランチの店を提案した。 「ちょっとそれは無理です」と仕事を断った。 最初は声が震えた。嫌われるんじゃないかと思った。 結果、離れていった人もいた。 「最近付き合い悪いね」って言われた。 でも、残った人がいた。 「前より話しやすくなった」って言ってくれた人がいた。 全員に好かれなくなった代わりに、本当に大切な人との関係が深くなった。 今でも怖い。誰かに嫌われるのは、やっぱり怖い。 でも、全員に好かれるために自分を殺すより、何人かに嫌われても自分でいる方が、ずっと息がしやすい。 嫌われてもいい。 全員の正解にならなくていい。 私は私のままで、好きだと言ってくれる人を、大事にすればいい。 --- *© 2026 匿名の元・八方美人*