月曜の朝になると、お腹が痛くなる。
毎週じゃない。でも、だいたい月曜日。
最初は「何か悪いもの食べたかな」って思ってた。病院にも行った。「ストレス性ですね」と言われて、胃薬をもらった。
ストレス性。そう言われても、自分ではストレスを感じてるつもりがなかった。仕事は忙しいけど、まあ普通。人間関係もまあ普通。特に悩みがあるわけでもない。
でも身体は知ってた。月曜の朝、会社に行く準備をする自分の身体が、毎週小さく悲鳴をあげてた。
頭が追いつくのは、ずっと後だった。
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洗濯物を畳んでいたら、涙が出た。
悲しいことがあったわけじゃない。考え事をしていたわけでもない。タオルを畳んで、靴下を揃えて、Tシャツをたたもうとした瞬間に、ぽろっと。
なんで。
分からない。分からないまま、涙が止まらなくなって、畳みかけの洗濯物の上にうずくまった。
10分くらいそうしてた。落ち着いたあと、何事もなかったように洗濯物を畳み直した。
誰にも言えなかった。「洗濯物畳んでたら泣いた」って、どう説明すればいいか分からなかったから。
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退職届を書こうとしたら、手が震えた。
辞めたかった。ずっと辞めたかった。頭では決めてた。
でも、ペンを持った瞬間、右手がぶるぶる震えて、文字が書けない。
怖いのかな。何が怖いんだろう。辞めたあとの生活? 周りの目? 上司の反応?
全部かもしれない。でも、どれも頭では「大丈夫」って思ってる。
大丈夫じゃないのは、頭じゃなくて、身体のほうだった。
身体はいつも、私より先に本当のことを知っている。
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