私には「取扱説明書」がある。
自分で作った、自分のための説明書。スマホのメモに入ってる。
「批判されると黙る」「黙ったあと、3日くらい引きずる」「引きずってる時は甘いものを食べると少しまし」
こんなことが、10個くらい書いてある。
これがあると、自分の扱い方が少し分かる。分かったからって楽になるわけじゃないけど、「またこのパターンだ」って気づけるだけで、飲み込まれにくくなった。
でも、このメモを作れるようになるまで、けっこう遠回りした。
半年前。
彼氏と喧嘩した翌日、仕事でミスを連発した。
先輩に「今日どうした?」と聞かれて、「大丈夫です」と答えた。
大丈夫じゃなかった。頭の中が全部、昨日の喧嘩で埋まってた。
その夜、ふと思った。「私、プライベートで何かあると、必ず仕事に出るな」って。
初めて自分のパターンに気づいた瞬間だった。
1年前。
友達の何気ない一言で、1週間落ち込んだことがある。
「そのシャツ、面白いね」
褒めてたのかもしれない。でも私の中では「変だよ」に変換された。
1週間、そのシャツを着られなかった。
あとから冷静に考えて、「私、人の言葉を悪い方に解釈する癖がある」と気づいた。
気づいたけど、止められなかった。
3年前。
自分のことが全く分からなかった。
なんで怒ってるのか分からない。なんで泣いてるのか分からない。なんで人と話すと疲れるのか分からない。
全部「自分がおかしいから」だと思ってた。
おかしいんじゃなくて、知らなかっただけだった。
自分の癖を。自分のパターンを。自分の取り扱い方を。
スマホのメモを開く。
今日、新しい項目を追加した。
「褒められると、逆に不安になる」
また一個、自分のことが分かった。
分かったところで、すぐには変わらない。でも、取扱説明書が1行増えるたびに、自分との付き合い方がほんの少しだけ上手くなる。
ほんの少しだけ。
---
*© 2026 匿名の自己観察者*