給料日まで、あと5日。財布には、342円。
冷蔵庫には、何もない。米も、ない。
お腹が、空いた。
仕事帰り、スーパーに寄った。買うためじゃない。試食コーナーがあるから。
ウインナーの試食。小さいの、一つ。店員さんが「どうぞ」って言った。「ありがとうございます」って受け取った。
美味しかった。もっと食べたかった。
10分待った。別の客が試食してる間。それから、もう一度、試食コーナーに行った。
「もう一ついいですか?」って聞けなかった。だから、黙って取った。
店員さんは気づいてた。でも、何も言わなかった。
もう一個、食べた。
それでも足りなかった。
また10分待った。今度は別の試食コーナーに行った。チーズの試食。これも取った。
3回。試食を、3回食べた。
惨めだった。恥ずかしかった。でも、お腹が空いてた。
家に帰った。水を飲んだ。それで、お腹を膨らませた。
布団に入った。眠れなかった。
「なんで、こんなことになったんだろう」
給料は安い。家賃を払ったら、ほとんど残らない。食費を削って、なんとか生きてる。
親には頼れない。友達もいない。誰にも、言えない。
「試食を3回食べた」なんて、誰に言える?笑われる。軽蔑される。
でも、生きるためだった。
次の日も、スーパーに行った。今度は試食を2回だけにした。少しだけ、罪悪感が軽くなった気がした。
給料日が来た。少しだけ、食べ物を買った。
でも、また来月、同じことをするかもしれない。
これが、私の現実。
恥ずかしい。情けない。でも、これが私だ。
完璧な人間なんて、いない。みんな、どこかで誰かに迷惑をかけて、ズルをして、生きてる。
私は、試食を3回食べた。それで、なんとか生き延びた。
許せるか?自分を。
まだ、わからない。でも、死ぬよりはマシだった。
明日も、生きる。どうやってか、わからないけど。
でも、生きる。
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