離婚届を出した日。役所を出て、空を見上げた。
青かった。こんなに空が青いなんて、久しぶりに気づいた。
そして、笑った。声を出して、笑った。
通りすがりの人が、私を見た。変な人だと思われたかもしれない。でも、どうでもよかった。
私は、自由になった。
結婚生活は、10年だった。
最初の3年は、まあまあだった。普通の夫婦だった。
でも、4年目くらいから、おかしくなった。
夫は、私をコントロールしようとした。「誰と会ったの?」「何時に帰るの?」「なんでこんな服着てるの?」
最初は、心配してくれてるんだと思った。でも、違った。
友達と会うのを嫌がった。実家に帰るのも嫌がった。携帯をチェックされた。外出するたびに、理由を聞かれた。
少しずつ、私の世界は狭くなった。
友達は離れていった。「あいつ、おかしいよ」って言ってくれた人もいた。でも、私は夫をかばった。「そんなことない」って。
気づいたら、私には誰もいなくなっていた。夫だけが、私の世界だった。
ある日、限界が来た。
夫が、また怒鳴った。理由は忘れた。些細なことだったと思う。
その時、思った。「もう、無理だ」って。
次の日、弁護士に相談した。離婚したいって。
夫は、最初拒否した。「俺のどこが悪いんだ」って。
話し合いは、長引いた。半年以上かかった。
でも、最終的に、離婚は成立した。
役所で、離婚届を出した。夫は来なかった。郵送で済ませた。
それでよかった。もう、顔も見たくなかった。
離婚して、1年が経った。
今、私は一人で暮らしている。小さなアパート。でも、私の城だ。
誰にも、何も聞かれない。何時に帰っても、誰と会っても、何を着ても、自由だ。
友達も、少しずつ戻ってきた。「よかったね」って言ってくれた。
仕事も、新しいのを見つけた。前より給料は少ないけど、楽しい。
朝、目が覚めると、幸せだと思う。
こんな気持ち、結婚してた時は一度もなかった。
離婚は、失敗じゃない。少なくとも、私にとっては。
結婚が、私を苦しめていた。離婚が、私を救った。
周りには、「離婚なんて可哀想」って思う人もいるかもしれない。でも、私は可哀想じゃない。
今の私は、結婚してた時の私より、ずっと幸せだ。
離婚して、初めて笑った。
その笑顔は、今も消えていない。
もし、辛い結婚生活を送っている人がいたら。離婚は、選択肢の一つだ。
恥ずかしいことじゃない。逃げでもない。自分を守るための、勇気ある決断だ。
私は、離婚して本当によかった。
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*© 2025 匿名の元妻*