20代前半のあの頃、私は調子に乗っていました。
会社員として働き始めて、毎月お給料が入ってくる。その嬉しさと、初めて手にした自由。欲しいものを買って、友達と遊んで、「まだ若いし、いっか」って。気づいたら、コツコツ貯めていたお金が、全部消えていました。
通帳の残高を見たとき、心臓が冷たくなりました。
後悔したのは、お金がなくなったことだけじゃありません。それまで頑張って貯めてきた努力を、自分で無駄にしてしまった——その事実が、一番辛かったんです。節約して、我慢して、少しずつ積み重ねてきたものを、調子に乗って全部使い切ってしまった自分が、情けなくて。
でも、その後悔が私を変えました。
お金の使い方を、真剣に見直しました。毎月貯金する金額を決めて、それは絶対に崩さない。欲しいものがあっても、本当に必要かどうか、一度立ち止まって考える。派手じゃないけれど、確実に貯まっていく通帳の数字を見るたびに、小さな達成感を感じるようになりました。
この前、コンビニで新作のスイーツを手に取って、少し眺めて、棚に戻しました。
我慢したわけじゃないんです。「本当に食べたい?」と自分に聞いたら、そうでもなかった。それだけです。
消えていったお金のことは、今でもたまに思い出します。あのお金で買ったものは、ほとんど手元に残っていません。
残ったのは、棚に戻すときの、この一呼吸だけ。
今のところ、それで足りています。
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