不妊治療を、やめた。
5年続けた。タイミング法、人工授精、体外受精。全部やった。
でも、授からなかった。
お金も、たくさん使った。200万以上。
時間も、たくさん使った。病院通い、注射、検査。
心も、すり減った。
毎月、期待して、裏切られる。
生理が来るたびに、泣いた。「またダメだった」って。
周りは、次々に妊娠していく。
友達も、同僚も、義妹も。
「おめでとう」って言うたびに、心が痛かった。
素直に喜べない自分が、嫌だった。
夫は、「無理しなくていいよ」って言ってくれた。
でも、私は諦められなかった。「もう少し、もう少し」って。
でも、ある日、気づいた。
「私、何と戦ってるんだろう」
子どもが欲しい。それは本当。でも、このままじゃ、自分が壊れる。
不妊治療をやめることは、負けることじゃない。
自分を守ることだ。
夫に言った。「もう、やめたい」
夫は、「わかった」って言った。そして、抱きしめてくれた。
「二人でも、幸せだよ」
その言葉に、泣いた。
治療をやめてから、半年が経った。
体が、楽になった。毎月の注射も、検査もない。
心も、少しずつ軽くなった。
子どもがいない人生を、受け入れ始めた。
友達に会っても、子どもの話を聞いても、前ほど辛くない。
「それもいいね」って思えるようになった。
夫と二人で、旅行に行った。
子どもがいたら、こんな風には行けなかっただろう。
夫と手を繋いで、海を見た。
「幸せだね」って夫が言った。
「うん」って答えた。
本当に、幸せだった。
子どもがいる幸せもある。でも、子どもがいない幸せもある。
どっちが正解とか、ない。
私は、子どもがいない人生を選んだ。いや、選ばされた。
でも、それでも、幸せに生きていける。
不妊治療、やめた。
それは、諦めじゃなかった。新しい人生の始まりだった。
今、私は前を向いている。
子どものいない未来に、希望を見つけている。
それで、いいんだと思う。
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*© 2025 匿名の妻*