鏡を見るのが、怖かった。
自分の顔を見ると、嫌悪感が湧いた。
「ブス」「老けた」「醜い」
そんな言葉が、頭の中に浮かぶ。
朝、洗面所で顔を洗う。でも、鏡は見ない。
化粧をする時も、最低限しか見ない。
外出先のトイレ。鏡がある。目を逸らす。
この感覚は、いつからだろう。
10代の頃からかもしれない。
周りの子は、可愛くて、華やかで。
私は、地味で、目立たなくて。
「私なんて」って思ってた。
大人になっても、変わらなかった。
SNSを見ると、綺麗な人ばかり。
比べて、落ち込む。
「私は、何をやってもダメだ」
ある日、友達に言われた。
「なんで、そんなに自分を否定するの?」
「だって、私ブスだもん」
友達は、首を振った。
「そんなことない。あなたは、あなたのままで素敵だよ」
でも、信じられなかった。
その後、カウンセリングに通い始めた。
カウンセラーに、鏡が怖いことを話した。
「鏡を見ると、何が見えますか?」
「醜い自分」
「本当にそうですか?」
「...わからない」
カウンセラーは、課題を出した。
「毎日、鏡を見て、自分に一つだけ、良いところを言ってください」
最初は、無理だと思った。
でも、やってみることにした。
次の日、鏡の前に立った。
自分の顔を見た。嫌悪感が湧いた。
でも、何か一つ、良いところを探した。
「...目は、悪くない」
小さな声で言った。
それだけで、精一杯だった。
次の日も、鏡の前に立った。
「髪は、サラサラしてる」
その次の日。
「肌は、まあまあ綺麗」
少しずつ、少しずつ、良いところを探した。
1ヶ月が過ぎた頃、気づいた。
鏡を見ても、前ほど嫌悪感がない。
「ああ、これが私か」
そう思えるようになった。
完璧じゃない。綺麗でもない。
でも、これが私だ。
今、私は鏡を見ることができる。
まだ、時々嫌になる。でも、前ほどじゃない。
「これでいい」って思えるようになった。
自分を好きになるって、難しい。
でも、自分を受け入れることは、できる。
「これが私」
それを認めるだけで、楽になる。
鏡を見るのが、怖かった。
でも、今は大丈夫。
少しずつ、自分と仲良くなれてる気がする。
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