深夜2時のコンビニが、私の居場所だった。
眠れない夜。布団の中で何度も寝返りを打って、天井を見つめて、スマホを開いて閉じて。そんなことを繰り返しているうちに、部屋の空気が重くなっていく。息が詰まりそうになる。
そういう時、私はコンビニに行く。
別に何か買いたいものがあるわけじゃない。ただ、あの空間が必要だった。自動ドアが開く音、蛍光灯の明るさ、冷蔵庫の冷気、レジの「いらっしゃいませ」という声。すべてが、私を現実に引き戻してくれる。
最初は罪悪感があった。こんな時間に外をうろついて、私は何をしているんだろう。普通の人は、今頃ぐっすり眠っているのに。そう思うと、自分がどこにも属していない人間のように感じた。
でもある夜、気づいたんだ。深夜のコンビニには、いろんな人がいる。
仕事帰りのサラリーマン。夜勤明けの看護師。受験勉強中の学生。配達の仕事をしている人。そして、私のように、ただなんとなく立ち寄っている人。
みんな、それぞれの理由でここにいる。誰も、誰のことも気にしていない。ただそこにいるだけで、許されている。そう思ったら、少し安心した。
私はいつも同じことをする。店内を一周して、雑誌コーナーで適当に雑誌をめくって、温かい飲み物を一つ買う。ホットミルクティーか、コーンスープ。レジで会計をして、「ありがとうございます」と言われる。その何気ないやりとりが、不思議と心を落ち着かせてくれる。
家に帰る道。手に持った温かい飲み物。夜の静けさ。さっきまでの息苦しさが、少しだけ和らいでいる。
部屋に戻って、ベッドに座って、ゆっくり飲み物を飲む。それでも眠れないこともある。でも、それでもいいんだ。コンビニに行って、また戻ってくる。その往復だけで、何かが変わる。
これは逃げなのかもしれない。でも、逃げてもいいんだと思う。息が詰まりそうな時は、外に出ていい。どこかに行っていい。誰にも迷惑をかけていない。ただ、自分を守っているだけだ。
深夜のコンビニは、今も私の居場所だ。眠れない夜、どうしようもなく苦しい時、私はそこに行く。そして、また帰ってくる。
それだけで、なんとか生きていける。それだけで、明日を迎えられる。
もしあなたも眠れない夜があるなら、外に出てみてもいいかもしれない。コンビニでも、公園でも、どこでもいい。部屋に閉じこもっているだけが、正解じゃない。
夜は長い。でも、必ず朝は来る。それまで、自分なりの方法で、なんとか持ちこたえればいい。
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