手作りの金メダル
ふつう・4分

手作りの金メダル:娘の運動会、仕事を休めなかった

匿名の母・4分・ふつう

娘の小学校の運動会。私は会社にいた。

1ヶ月前から分かっていた日程。でも、その日は大事なプレゼンが入っていて、私が休むと同僚に迷惑がかかる。上司に相談したけど、「厳しいな」という反応だった。

夫に頼んだ。「お願い、今年はあなたが見てきて」

夫は快く引き受けてくれた。でも、娘は言った。

「ママも来てほしかった」

その言葉が、ずっと胸に刺さっていた。

運動会当日の朝、娘は弁当を持って学校に行った。私は娘を玄関で見送って、そのままスーツに着替えて会社に向かった。電車の中で、他の親子連れを見た。お母さんたちは、カメラを持って楽しそうに話している。

私は、母親失格なんじゃないか。

プレゼンは無事に終わった。でも、頭の中はずっと娘のことでいっぱいだった。今頃、徒競走かな。ダンスかな。夫はちゃんと写真撮ってくれてるかな。

夕方、家に帰ると娘が駆け寄ってきた。

「ママ、見て!金メダルもらったよ!」

娘は嬉しそうに、手作りの金メダルを見せてくれた。夫が撮ってくれた動画を一緒に見た。娘は一生懸命走っていて、転びそうになりながらも最後まで頑張っていた。

「ママ、見れなくてごめんね」

そう言ったら、娘は首を横に振った。

「大丈夫だよ。ママ、お仕事頑張ってたんでしょ?パパがいっぱい応援してくれたから」

その言葉に、涙が出そうになった。

私は完璧な母親じゃない。仕事と子育ての両立なんて、綺麗事じゃできない。どちらかを選ばなきゃいけない時、罪悪感はいつもついてくる。

でも、娘は分かってくれている。私が働いていること。頑張っていること。すべてに参加できなくても、愛していること。

その夜、娘が寝た後、夫と話した。

「ごめん、任せちゃって」
「いいよ。俺が見れて良かった。お前も大事な仕事だったんだろ?」

夫は優しく言ってくれた。でも、私の中の罪悪感は消えなかった。

次の運動会は、絶対に行く。カレンダーの、来年の5月のところに、もう線を引いてある。

娘の金メダルは、今もリビングに飾ってある。

埃を拭くのは、私の仕事にしている。

― 匿名の母

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