役所の窓口で、申請書を出す時、手が震えた。
「生活保護を受けたいんです」
その言葉を口にするまで、何度も練習した。でも、実際に言うと、涙が出そうになった。
病気で仕事ができなくなって、3年。貯金は底をついた。家賃も払えない。電気も止められた。食事は、1日1食。それすら、もう続けられなかった。
「死ぬしかないのかな」
そう思った夜もあった。でも、死ぬ勇気もなかった。ただ、苦しかった。
友人に「生活保護を受けたら?」と言われた時、最初は拒否した。
「そんなの、恥ずかしい」
「働けない自分が情けない」
「税金で生きるなんて」
でも、友人は言った。
「生活保護は、権利だよ。恥じることじゃない」
その言葉が、心に残った。
ネットで調べた。生活保護の申請方法、必要な書類、受給までの流れ。でも同時に、批判の声もたくさん見た。
「働けるのに受給してる奴がいる」
「税金泥棒」
「甘えだ」
そういう言葉を見るたびに、自分が責められている気がした。
でも、背に腹は代えられなかった。このままでは、本当に死んでしまう。
役所に行った。相談窓口で、事情を説明した。担当者は、淡々と書類を渡してくれた。優しくもなく、冷たくもなく。ただ、事務的だった。
「これとこれを用意して、また来てください」
書類を集めるのが大変だった。病院の診断書、預金通帳、家族の状況。すべてを証明しなきゃいけない。まるで、自分の人生を裁判にかけられているみたいだった。
数週間後、受給が決定した。
「月〇〇円、支給されます」
その言葉を聞いた時、安堵と同時に、深い罪悪感が襲ってきた。
「私は、税金で生きていくんだ」
スーパーで買い物をする時、レジで支払う時、いつも考えてしまう。この食べ物は、誰かの税金で買っている。申し訳ない。そう思ってしまう。
でも同時に、思う。生活保護があったから、私は生きている。死ななくて済んだ。それは、感謝すべきことなんじゃないか。
受給して1年。少しずつ、体調が良くなってきた。病院にもちゃんと通えるようになった。薬も飲めるようになった。
そして今、少しだけ働けるようになった。週2回、3時間のパート。それでも、前に進んでいる。
いつか、生活保護を抜け出したい。自分の力で生きていきたい。でも、焦らない。今は、ゆっくり回復することが大事だと分かっている。
生活保護を受けることは、恥じゃない。生きるための選択だ。そう思えるようになるまで、時間がかかった。でも今は、そう信じている。
もしあなたも、生きるのが辛くて、どうしようもない状況にいるなら、助けを求めてもいい。生活保護は、そのためにある制度だ。
誰かに迷惑をかけているわけじゃない。生きるための権利を使っているだけだ。
私は、生活保護を受けて良かった。それがなければ、今ここにいない。
そして、いつか必ず、自分の足で立つ。その日まで、ゆっくりと歩いていく。
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