← 図書館へ戻る
📊

昇進を断った。後悔はしていない

📅 2025-11-03⏱️ 4分✍️ 匿名の平社員
昇進仕事選択価値観決断
上司に呼ばれた日、昇進の話だった。 「課長になってくれないか」 その言葉を聞いて、最初は嬉しかった。認められたんだ。頑張ってきたことが、報われたんだ。 でも、同時に不安もあった。 「少し、考えさせてください」 そう答えると、上司は少し驚いた顔をした。 「普通は即答だけどな。まあ、いいよ。でも、この話はそう何度もない。よく考えて」 家に帰って、考えた。 課長になったら、給料は上がる。肩書きもつく。周りからの評価も変わる。それは、確かに魅力的だった。 でも、同時に何が起こるか、分かっていた。 残業が増える。責任が重くなる。部下のマネジメント。上からのプレッシャー。休日出勤。家に帰っても、仕事のことを考える毎日。 今の課長を見ていれば、分かる。いつも疲れた顔をしている。家族との時間もない。趣味もない。ただ、仕事だけ。 私は、それが嫌だった。 今の私は、平社員だ。責任は軽い。定時で帰れる日も多い。週末は、ちゃんと休める。趣味の時間もある。家族との時間もある。 給料は多くないけど、生活はできている。それで十分じゃないか。 妻に相談した。 「昇進の話、断ろうと思ってる」 妻は、少し驚いた。でも、すぐに笑った。 「いいんじゃない?あなたが決めたことなら」 その言葉に、背中を押された。 次の日、上司に伝えた。 「申し訳ありませんが、昇進はお断りします」 上司は、明らかに不満そうだった。 「なんで?これはチャンスだぞ。今断ったら、次はないかもしれない」 「分かっています。でも、今の働き方を変えたくないんです」 上司は、ため息をついた。 「もったいないな。まあ、お前の人生だ。好きにしろ」 その後、同僚たちに知られた。「昇進断ったんだって?」と何度も聞かれた。 「なんで?」 「信じられない」 「俺なら即答で受けるのに」 みんな、理解できないという顔をしていた。 でも、一人だけ分かってくれた人がいた。先輩だった。 「いい選択だと思うよ。俺も昔、昇進して後悔した。家族との時間がなくなった。今更戻れないけどね」 その言葉を聞いて、自分の選択が間違ってなかったと思えた。 それから半年。給料は変わらない。肩書きもない。同期は、どんどん昇進していく。 でも、私は幸せだ。 週末、子どもと公園に行く。妻とゆっくり映画を見る。趣味のギターを弾く。そんな時間が、私には大切だった。 仕事だけが、人生じゃない。 昇進を断ったことを、後悔していない。むしろ、よく決断したと思っている。 もしあなたも、キャリアと生活のバランスで悩んでいるなら、自分の価値観を大切にしてほしい。 昇進が正解とは限らない。出世が幸せとは限らない。 自分が何を大切にしたいか。それだけが、答えだと思う。 私は、家族との時間を選んだ。それで、良かった。 --- *© 2025 匿名の平社員*