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睡眠薬を、手に握ったまま朝を迎えた

📅 2025-11-03⏱️ 5分✍️ 匿名の生存者
自殺希死念慮生きる
あの夜、私は睡眠薬を手に握っていた。 1錠、2錠、3錠…数えた。全部で20錠。これを飲めば、もう起きなくていい。そう思った。 「もう、疲れた」 声に出して言った。誰もいない部屋で。 仕事も、人間関係も、すべてがうまくいかない。毎日が辛くて、生きている意味が分からなくて。「消えたい」と思う日が増えていった。 最初は、ぼんやりとした考えだった。「死んだら楽かな」くらい。でも、だんだん具体的になっていった。「どうやって死のう」「いつ死のう」。 そして、あの夜。決行する日だと決めた。 遺書も書いた。両親へ、友達へ、会社の人へ。「ごめんなさい」と書いた。「迷惑をかけてごめんなさい」と。 部屋を片付けた。見られたくないものは捨てた。通帳と印鑑を、分かりやすい場所に置いた。 準備は整った。あとは、飲むだけ。 睡眠薬を手に握った。水を用意した。 「これで、終わりにできる」 そう思った瞬間、手が震えた。 本当にこれでいいのか。本当に、死にたいのか。 頭の中で、色々な声がした。 「楽になれるよ」 「もう頑張らなくていいよ」 でも同時に、別の声もした。 「本当にこれでいいの?」 「明日は、もしかしたら違うかもしれないよ」 その「もしかしたら」が、引っかかった。 明日も、今日と同じかもしれない。でも、もしかしたら違うかもしれない。その可能性を、確かめずに死んでいいのか。 時計を見た。深夜2時。 「朝まで、待ってみようか」 そう思った。朝まで待って、それでも死にたかったら、その時に死ねばいい。 ベッドに横になった。睡眠薬は、まだ手に握ったまま。いつでも飲める。でも、今は飲まない。 目を閉じた。眠れなかった。でも、そのまま横になっていた。 時間が過ぎた。3時、4時、5時。 窓の外が、少しずつ明るくなってきた。鳥が鳴き始めた。朝が来た。 私は、まだ生きていた。 手を開いた。睡眠薬が、手のひらに跡を残していた。でも、飲まなかった。 「今日も、生きてしまった」 そう思った。でも、不思議と悪い気分じゃなかった。 朝日が、カーテンの隙間から差し込んできた。その光を見て、思った。 「とりあえず、今日一日だけ生きてみよう」 それから、病院に行った。精神科。先生に、正直に話した。死にたいと思っていること。昨夜のこと。 先生は、静かに聞いてくれた。そして、言った。 「よく、来てくれましたね」 その言葉に、涙が出た。 治療が始まった。薬も飲み始めた。カウンセリングも受けた。すぐには良くならなかった。でも、少しずつ、霧が晴れていった。 今でも、死にたいと思う日はある。でも、あの夜ほど切羽詰まった感じはない。 「今日一日だけ、生きてみよう」 そう思って、なんとか続けている。明日のことは考えない。ただ、今日だけ。 あの夜、睡眠薬を飲まなくて良かった。朝まで待って、良かった。 もしあなたも、今夜死のうと思っているなら、朝まで待ってみてほしい。明日も同じかもしれない。でも、もしかしたら違うかもしれない。 その「もしかしたら」を、確かめてから決めても遅くない。 私は、朝を迎えた。そして今日も、生きている。 それだけで、十分だと思う。 --- *© 2025 匿名の生存者*