息子が3歳の時、療育に通い始めた。
今、6歳。もうすぐ小学生になる。
最初は、認めたくなかった。
「うちの子は、普通じゃないのか」
健診で指摘された時、頭が真っ白になった。言葉が遅い。目が合いにくい。こだわりが強い。
「様子を見ましょう」と言われ続けて、3歳。
「療育を受けてみませんか?」
その言葉を聞いた時、何かが崩れた。
夫に相談した。
「療育って、障害がある子が行くんじゃないの?」
私も、そう思っていた。うちの子は、ちょっと遅いだけ。そのうち追いつく。そう信じたかった。
でも、心のどこかで分かっていた。このままじゃ、息子は苦しむ。
療育センターに見学に行った。
小さな子どもたちが、先生と一緒に遊んでいた。ブランコに乗る子。積み木を並べる子。絵本を見ている子。
「普通じゃないか」
そう思った。みんな、ただの子どもだった。
息子も、その中に入った。最初は固まっていたけど、先生が優しく声をかけてくれた。
「ゆっくりでいいよ」
その言葉が、私の心にも響いた。
療育が始まった。
週に2回、1時間。遊びを通して、コミュニケーションや生活のスキルを学ぶ。
最初の半年は、変化が分からなかった。
「本当に意味があるのかな」
そう思うこともあった。お金もかかる。時間もかかる。仕事の調整も大変。
でも、続けた。
1年が過ぎた頃、変化に気づいた。
息子が、私の顔を見て笑うようになった。「ママ」と呼んでくれるようになった。
小さなことだった。でも、私にとっては大きなことだった。
療育の先生が言った。
「お母さん、すごく成長してますよ」
その言葉で、泣いてしまった。
2年目。
息子は、お友達と遊べるようになってきた。まだ上手じゃない。でも、隣に座って、一緒にブロックを積む。
それだけで、嬉しかった。
療育に通う他のお母さんたちとも、仲良くなった。
みんな、同じように悩んでいた。「この子の将来は?」「学校は大丈夫?」「いつまで療育を続ければいいの?」
答えは、誰にも分からない。
でも、一人じゃないと分かった。
3年目の今。
息子は、療育が好きだ。「今日、療育?」と聞いてくる。
先生たちに会えるのが、楽しみらしい。
私も、療育に救われた。
息子の「できない」を数えるのをやめた。「できる」を見つけるようになった。
「普通」って、何だろう。
息子は息子のペースで、成長している。それでいい。
もうすぐ小学生。不安もある。でも、大丈夫だと思う。
療育で学んだのは、息子だけじゃない。私も学んだ。
「ゆっくりでいい」
その言葉を、自分にも言えるようになった。
もしあなたが今、療育を勧められて悩んでいるなら。
行ってみてほしい。見てみてほしい。
そこにいるのは、ただの子どもたちだ。そして、ただの親たちだ。
みんな、ゆっくり進んでいる。
それでいいんだと、気づけるかもしれない。
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*© 2025 匿名の母*